法律

因果なお仕事。

やっぱり・・・というフレーズしか出てこないようなニュースが夕刊を飾った。 「資金管理団体『陸山会』の土地取引を巡り政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴された元民主党代表で『国民の生活が第一』代表の小沢一郎被告(70)の控訴審判決が12日、…

“眞紀子クライシス”を振り返る。

11月2日、田中眞紀子文科相の「認可しない」発言で、上へ下への大騒ぎとなっていた「3大学設置認可問題」は、結局、大学設置・学校法人審議会の答申通り3大学の設置を認可する、という形で決着を見ることになった。大臣の発言が二転三転した末に、振り出しに…

素晴らしき栄誉。

毎年、春秋の季節の風物詩となっている紫綬褒章。 公職にあった方々を対象とする勲章とは異なり、芸術、スポーツ等の分野で活躍した、お茶の間にも馴染み深い方々のお名前を見かけることが多い栄典制度なのだが、今年の秋の受賞者欄を眺めていたら、なんとそ…

無謬性への固執が招いた“自滅”

本年6月、東京高裁が再審開始を決定し、約10年ぶりに法廷に戻ってきた、「東電女性社員殺害事件」。当初は、検察側で再度、科学的証拠を基に主張を組み立て直して争うだろう・・・という観測が強かったこの事件だが、再逆転を狙った追加鑑定で、 「被害女性…

ブログ記事“無断転載”問題と有斐閣のファインプレー。

「iPS臨床応用をめぐる研究成果捏造」というあまりにお粗末な話に、皆、気を取られているせいか、今のところそんなに話題になってはいないのだが、業界関係者的には、「おいおい」と突っ込みを入れたくなるようなニュースが、日経でささやかに*1報じられてい…

変わりゆく時代のさなかの訃報。

日経紙の社会面の片隅にひっそりと掲載される訃報。 日によっては見逃しても不思議ではないその場所に、現在にまで連なる民法学の一大系譜を築き上げた偉大な研究者のお名前が掲載されていた。 星野英一氏(ほしの・えいいち=東京大名誉教授)27日、心不全…

“異端児”が引き起こす債権法改正の混迷。

法制審議会での2巡目の審議が山を越えつつあり、いよいよ具体的な案の提示が目前に迫ってきた民法(債権法)改正。そんな中、日経紙の法務インサイドで、最近のホットな話題をネタに、「約款の免責」ひいては約款組入要件の導入の可否に言及する特集記事が…

夏休みに読むといいかもしれない本(その2)

近年、いろいろと“常識”が覆されつつある日本の司法界に、更なるインパクトを与えた、東電社員殺人事件をめぐる再審開始決定。既に、マイナリ被告人の身柄拘束は解かれているし、東京高検も特別抗告を断念した、ということで、おそらくこのまま再審で無罪判…

「審判」の意味。

“審判”問題が、今回の五輪の前半戦の象徴的な出来事の一つになりつつある。まず、口火を切ったのが、“クルクル変わる柔道の判定”問題。競技初日、男子60キロ級の決勝戦で、平岡選手に対する「技あり」判定が「一本」に修正されたり、3位決定戦で勝者が決まっ…

コペルニクス的転回に潜む危うさ。

ここに来て、一気に報道が過熱している大津市中2生徒自殺問題。昨年10月に発生した事件で、既に遺族による民事訴訟も始まっている、という状況であるにもかかわらず、様々な“新事実”が連日噴出し、それに対して教育委員会側が煮え切らない対応を繰り返したこ…

“指揮権発動”発言の不可解さ

東京地裁で小沢一郎元代表に対する「無罪」判決が出て以来、連日のように“戦犯”探しのような報道が展開されている今日この頃。 「虚偽内容を記載した捜査報告書」を作成した、というのが事実だとすれば、重たい話であるのは間違いないが、検察側としては起訴…

指定弁護士が選んだ茨の道。

ある意味、予想されたどおりの「無罪」判決が出てしまい、指定弁護士側の対応が注目されていた「陸山会」政治資金規正法違反事件だが、9日になって「控訴」の方針を固めたようである。 「資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り、民主党元代表、小沢一郎被…

「小沢元代表無罪」のその先にあるもの

ようやく、というべきか、とうとう、というべきか、3秘書の有罪判決からは半年、衝撃の起訴議決から1年半もの歳月を経て、小沢一郎元民主党代表の政治資金規正法違反被告事件に対する無罪判決が言い渡された。 「資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り、政…

こんな制度にしたのは誰か?〜強制起訴制度をめぐる混乱

裁判員裁判制度と並ぶ刑事司法への“市民目線”取り込み施策として、鳴り物入りで導入された検察審査会「強制起訴」制度。制度導入後、次々と起訴相当議決が出され、2度目の議決で現実に起訴された事案も1つや2つではない*1。だが、最初の何件かまでは、「民意…

法律家にとっての教訓。

強引に起訴に持ち込んで勝負を賭けた検察側の思惑を、完膚無きまでに叩きのめした神戸地裁判決*1から14日、意外にも神戸地検は「控訴断念」を発表した。 「2005年4月、乗客106人が死亡するなどした兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪に…

「無罪」の重さ

起訴された時から懐疑的なコメントを寄せる識者が多く、このブログにおいても、「不可解な起訴」と題して疑問点を指摘した*1、福知山線脱線事故に関する山崎元社長の刑事事件。あれから2年半、第1ラウンドの神戸地裁で、やはり・・・といった感のある無罪判…

原発について考える上で欠かせない一冊。

新年早々「原子力損害賠償支援機構が資本注入と引き換えに、東京電力の普通株式取得を検討」などという、ちょっとしたサプライズが飛び込んでくるなど、今年もしばらくの間は、原発と東電(&各電力会社)をめぐるニュースが世の中を賑わせそうな気配である…

「ステキな金縛り」に見る刑事訴訟の本質

前宣伝の頃からずっと見たいと思っていた三谷幸喜脚本・監督の「ステキな金縛り」を、ようやく見に行くことができた。「ステキな金縛り」オリジナル・サウンドトラックアーティスト: サウンドトラック出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2011/10/05メデ…

最高裁が示した模範解答

平成21年に「裁判員が刑事裁判に参加する」という制度が導入されて以来、「この制度は違憲ではないか?」という問いかけが、これまでに何度となくなされてきた。しかし、現在に至るまで裁判員裁判を「違憲」と断言する研究者にはそんなにお目にかかったこと…

何を「正義」と呼ぶべきか?

平成18年夏の事故発生以来、“飲酒運転の恐ろしさ”を象徴するような出来事として語り継がれてきた「福岡飲酒運転3児死亡事故」。「飲酒運転」が社員のコンプライアンス上の重大事象とされるようになった一つの契機となった事故、そして、事故を起こした社員・…

「約款」をめぐる綱引き

債権法改正を巡る法制審議会での議論が第2ステージに入ろうとしているこの時期に、「約款」をめぐる産業界の意見が日経紙の「法務インサイド」で取り上げられている*1。ざっと紹介すると、 「不特定多数にサービスを提供するヤフーにとって、約款なしではビ…

調書は飛んでも事件は飛ばず。

検察官が請求していた捜査段階の供述調書の証拠採用が退けられるなど、郵便料金不正事件の再来を思わせるような展開で審理を終えていた「陸山会」事件。だが、東京地裁は、最後の最後で、あっと驚くような判断を示した。 「小沢一郎・民主党元代表の資金管理…

スパイスが利いてない最高裁判決

京都、大阪あたりの下級審判決を契機に、違法無効か、はたまた適法な慣習か、ということで議論が盛り上がっていた建物賃貸借契約の「更新料」に関し、遂に最高裁判決が出された。しかし、先日、当ブログで“画期的”と評価した「敷引特約」に関する最高裁判決*…

古典的発想からの脱却

ちょっと前まで、最高裁の判決と言えば、「消費者保護にとって画期的な」というフレーズが良く似合うものが多かった。傍から見ていると、必要以上に肩入れし過ぎているんじゃないか、とも思いたくなるような動きもあり、過払い金に関する一連の判例や、学納…

大山鳴動した結果・・・。

今年の3月初め頃にメディアの話題を独占していた感があった、「入試問題ネット投稿」事件。 直後に東日本大震災が発生したこともあって、いつの間にか忘れられた感もあったのだが、4ヶ月経った今、司法の場で一つの決着がついた、というニュースが社会面の片…

遺憾な評価。

東京にいながらしてアクセスできる、数少ない(というか唯一の)“社会科学系GCOE”として、個人的にお世話になっているのが、早稲田大学のプログラム(「成熟市民社会型企業法制の創造」)なのだが、拠点リーダーである上村達男教授名でメルマガ登録者向けに…

「3度目」での決着

以前、高裁と最高裁の間を行ったり来たりする“エレベーター事件”としてご紹介した、パチンコ店営業妨害事件。昨年7月に、最高裁の2度目の差し戻し判決が出て、実に珍しい同一高裁での3度目の審理、という事態になっていたわけだが(http://d.hatena.ne.jp/FJ…

刑事裁判の限界

2008年に千葉県沖で発生したイージス艦「あたご」の衝突事件で、業務上過失致死罪に問われていた当直士官(当時)2名に、横浜地裁(秋山敬裁判長)が無罪判決を言い渡した。 「公判では清徳丸の航跡を巡り検察側と弁護側が対立。秋山裁判長は「検察側が主張…

まさかの抗告却下

昨年、大法廷回付が決定され、もしやの判例変更?という期待を持たせてくれた「非嫡出子相続分」をめぐる遺産分割審判に係る特別抗告審。本ブログでも紹介した事件だったのだが*1、「和解成立に伴い抗告却下」というまさかの結末となってしまった。数日前、…

プロ野球の応援をする権利?

1ヶ月遅れで最高裁HPの下級審裁判例集で取り上げられた判決がなかなか面白いので、ここで紹介しておくことにしたい。先日の「ファウルボール負傷事件」*1に続き、最近、“プロ野球の法律問題”づいているところであるが、本件は「観戦する権利」をめぐって争わ…

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