2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「ナイフの加工装置」事件最高裁判決(後編)

最一小判平成20年4月24日(H18(受)1772号)に対するコメント。 前編(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20080428/1209438224)では、多数意見の内容を見てきたが、後編では泉徳治裁判官の「意見」を中心に見ていくことにしたい。 泉徳治裁判官意見*1 泉徳…

2008年4月のまとめ

ドタバタしているうちに過ぎていった4月。 環境が変わって去っていった読者の方がいるかと思えば、新たに見にきてくださる読者の方もいる。 そんな中、このブログは新年度も続いていく。 4月の月間ページビューは29,000件弱。ユニークユーザーは21000人強。 …

引き際の難しさ

柔道の全日本選手権で、鮮やかに散った井上康生選手。 筆者自身、悲劇の前年の世界選手権(@大阪)で、彼が難なく優勝を遂げたのを目撃していたこともあって、こういうニュースを耳にすると何とも寂しくなる。 仮に代表切符を勝ち取っていたとしても、世界…

「ナイフの加工装置」事件最高裁判決(前編)

昨日のエントリーでも触れたとおり、これからご紹介する最高裁判決は、特許侵害訴訟におけるいわゆる「ダブル・トラック」(トリプル・トラック)問題を考える上で、極めて大きな意味を持つものとなるように思われる。 発明の名称は「ナイフの加工装置」(特…

某書店で

カウンターの横に平積みになっていたのを見て、思わず手にとってしまった*1。 ピアノの鍵盤になんぞもう長らく触っていないのだけど(&今の居住環境ではピアノどころかキーボードすら置くスペースはとんとないのだけれど)、いつか機会があったら試してみよ…

ついに歴史が動いた・・・か?

最近になって、知財関係で面白い判決がまたいくつか出ているのだが、なかなか書く時間が確保できないので、とりあえず予告編。 ここ数年、学会でホットな話題になっていた「特許訂正審決の確定が特許侵害訴訟における再審事由となるか」という論点について、…

聖火騒動

テレビに映るところでも若干のトラブルが報じられているし、現地に行くともっと騒々しいことになっているのだろうが、とりあえず無事、若里公園にゴールできそうな雰囲気である。 聖火を取り囲む白い服の人々と、沿道の赤い旗とチベット旗。上から見ると、集…

偽装請負に鉄槌?

昨日の判決が夕刊になってようやく掲載されたあたりに、日経新聞のポジションが透けて見える(あえて朝刊に載せなかったのか、会見出席を拒否されて情報入手が遅れたのかは不明)のだが、松下プラズマディスプレイ社の偽装請負問題を巡る訴訟(通称「吉岡訴…

隔世の感

国家公務員1種試験の申込者数が、前年度比5.5%減の21,200人となり、現在の区分分けとなった1985年度以降、過去最低となったそうである。 人事院のサイトを見ると、 ○申込者数は、21,200人(昨年度に比べ5.5%の減) 〜 法文系は微減、技術系の減少幅も昨年…

JASRACが嫌いな人には朗報かもしれないが・・・

公取委がJASRACの立ち入り検査を行った、というニュースを聞いて、「それ見たことか」と喝采を挙げた人々は決して少なくないだろうと思う。 だが、 「JASRACが放送局と結んでいる「包括利用許諾契約」が管理事業者の新規参入を妨げていると判断。透明性の高…

予定調和的違和感

本来は、最高裁が破棄自判してもおかしくなかった事件だけに、判決の結論そのものに対しては違和感はない。 だが、そこに至るまでの(メディアの報道等も含めた)プロセスが穏当なものだったといえるのかどうか、検証されるべきことは多いと思う。 「山口県…

インサイダー規制の不思議

最近、インサイダー取引に対する監視の目が随分厳しくなってきているなぁ、と思っていたら、とうとう野村證券のM&A部門在籍者まで摘発されてしまったようだ(22日報道、その後23日になって逮捕)。 内部者取引規制の経済合理性云々が取りざたされていたの…

就職課は教えてくれない、シュウカツの心得(後編)。

4月早々に採用活動を始めた会社では、概ね内々定の第一陣が出揃った頃だと思うが、今でも街を歩くと、リクルートスーツを着た学生さんがコーヒーショップでエントリーシートの写しとにらめっこしている光景を見かけたりして、なんだか切なくなる。 新学期が…

今年の景気づけソング。

分かる人には分かると思うが、そろそろシーズンである。 ここ数年では一番調子が悪い。 頭の回転が鈍ってきている上に、今年に入ってから(歳のせいか・・・)体のあちこちが痛む。 そんな中、今年のテーマソングになりそうなのが「Fight The Blues」。 期待…

聖火を絶やすな。

日本で唯一の聖火リレーが予定されていた長野で、出発点に予定されていた善光寺が辞退を申し出たことで、結構な騒ぎになっている。 降って沸いたような騒動に怯えているかの土地の人々のことを思うと、筆者も胸が痛むのだが、ここは我が国の、そして由緒ある…

「新宿梁山泊」の敗北

劇作家・鄭義信氏と以前所属していた劇団「新宿梁山泊」との間で争われていた事件が決着したようだ。 「映画「月はどっちに出ている」で知られる劇作家の鄭義信さんの二作品について、劇団「新宿梁山泊」(東京)が上演権の確認を求め、東京地裁で争われてい…

いつか見た光景

またか、と思う・・・。 「イラクへの自衛隊派遣は憲法違反として、弁護士や市民らが国に派遣差し止めや慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁の青山邦夫裁判長(高田健一裁判長代読)は17日、「イラクでの航空自衛隊の空輸活動は憲法9条に違反…

ポスティングは刑罰に値するか?

「結論は予想どおりだが、判旨のあっけなさは想定外・・・。」 これが「防衛庁立川宿舎反戦ビラまき事件」の最高裁判決に対して筆者が抱いた感想である。 言いたいことはいろいろあるのだが、まずは判決を眺めてみることにしよう。 最二小判平成20年4月11日…

仁義なき戦い〜通販業者編

日経の企業面の片隅に小さく載っていた記事。 通信販売業者のムトウが、同業大手のベルーナに対して、類似商品やカタログ写真の使用差止め、損害賠償請求(1800万円)を求めて静岡地裁に提訴した、というものであるが、当の原告会社のホームページに行ってみ…

「既得権益」は必要か?

「75歳以上を対象に4月に始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の保険料を徴収するため、厚生労働省・社会保険庁は832万人を対象に15日支給の年金で初めて保険料を天引きした。高齢者への周知徹底は十分とはいえず、一部の自治体には朝から問い合わせ…

ロスタイム・ライフ

朝起きたら、枕元に男が4人くらい立っていて、いきなり「残り×××分」のボードを示される。 そんな夢を見たくても見られないほど、最近寝ていないし、体を休めるヒマがない。 個人的には、無駄に過ごしてきた時間も随分あるから、ロスタイムだけでも十分楽し…

もうそんなシーズン。

ボーっとしている間に、世の中は春の学会シーズンに向けて動き出しているようで、大変有難いことに、関係者の方からご案内をいただいた。 著作権法学会 2008年度研究大会 - 日時: 2008年 5月24日(土) 10:00〜17:00 場所: 一橋記念講堂(学術総合…

良く分からなくなってきた。

4月13日付、お昼頃に更新されたと思われる『サイキンノヤイコ』より。 私のMCがなんか意味深になってしまったけれども、 お伝えした通り、これからも曲を作り続けますし、ライブもどんどんやります。 もっと強くなる為の旅。健やかに音楽を探究する旅。 こ…

100万ページビュー御礼。

とうとう、本ブログのページビューも1,000,000に達した。 日々のアクセス数などに一喜一憂することはあまりないのだが、こればっかりはさすがに土曜日辺りから意識していたりして・・・(笑)。 何の気なしに始めたものが、984日も続いていることだけでも自…

ヤイコ休業宣言・・・。

ツアーファイナルとなる昨日のJCBホール(2日目)のステージで、矢井田瞳本人の口から飛び出したそうで・・・。 どうみても嫌な予感はしていたので、筆者自身、先月の大阪のライブ後のコメントとして、http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20080330/1206902543…

今も昔も。

東大の入学式で安藤忠雄特別栄誉教授が、 「自己を確立しない限り、独創心は生まれない」 「自立した個人をつくるため親は子供を切り、子は親から離れてほしい」 http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20080412-347188.html と、「過保護な親…

法務担当者にとっての格好の教材

昨日の朝刊に大きく取り上げられた講談社の件。 「奈良県の医師宅放火殺人事件で逮捕された少年の供述調書を引用した本の出版を巡り、調書を漏洩(ろうえい)した精神科医(50)が秘密漏示罪で逮捕・起訴された問題で、出版元の講談社は9日、取材や出版の経…

師の志を継ぐものは誰か?

今さらではあるが、NBL3月15日号(No.877)に掲載されている、中山信弘・前東京大学教授の論稿*1を拝読した*2。 師が知的財産法の世界に残してこられた功績がいかに甚大なものか、筆者の安直なコメントではとても語りつくすことはできないのだが、中でも、一…

民主党が死んだ日。

昨日から予想されていたことではあるが、日銀の人事案に対し、民主党が4度目の「No」を突きつけた。 明日の日本経済新聞の朝刊社説の論調は大方想像が付くが、日頃“市民の見方”を気取っている各紙も、今回ばかりはさすがに民主党の世紀の愚行を容赦なく叩く…

「ネット配信促進策」をめぐる議論への疑問

日経新聞の「法務インサイド」欄で、岩倉正和弁護士と松田政行弁護士が“ガチンコ”勝負を繰り広げている*1。 かたや、コンテンツ流通促進のための「ネット法」を提唱する岩倉弁護士と、あくまで国際条約等に則り、権利者の「自主的な契約促進」にコンテンツ流…

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html